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vol.14 手形のしくみ

代金の支払いに使える手形!その仕組みを徹底解説!
手形のイメージがはっきりしない人、必見です。

複素数の四則演算…なんてことは出てきません。
足し算、引き算(あと掛け算、割り算もちょっとだけ)ができれば大丈夫の簿記3級。気軽な気持ちで読んでくれたらうれしいです。待ち合わせ早めについちゃったら読んでみて。

 

手形とは

手形、手形、手形がつく言葉… 「通行手形」ってありますよね。
埼玉県民は通行手形がないと東京に入ることが許されない!都民に紛れ込んだら特殊部隊に捕えられてしまう。なんてこと、映画『飛んで埼玉』でやっていました。

この場合、「ある場所の通行を許可した証し(あかし)」として使われています。このように手形には「何かであることの証し(あかし)」という意味が込められています。

会計(簿記)で手形といえば、「当座預金の口座を持っている人が代金の支払いで使うことができる券」として登場してきます。

この手形には「一定の期日に、一定の金額を支払うことを約束した証し」という意味が込められています。

同じようなもので小切手があります。小切手の受取人は即座に現金に変えることができ、振出人は、数日したら当座預金の口座から金額が引き落とされる仕組みでした。

手形の”小切手との大きな違い”は「即座に現金に変える」のではなく、「将来のある日に現金に変える」というところです。即座ではないので「現金」として扱いません。

将来のある日に支払う義務は「債務(さいむ)」、負債です。
将来のある日に受取る権利は「債権(さいけん)」、資産です。

振出人が「今はお金がないけれど、将来のある日に大金が入ってくるから、その後で支払いたい」という時に使われます。

手形には「約束手形(やくそくてがた)」と「為替手形(かわせてがた)」の2種類があります。

2つの違いはこんな感じです。

約束手形」は、2者間でのやりとり。AさんがBさんに支払う約束をした証しで、Aさんが振り出します。

 

為替手形」は、3者間でのやりとり。本来ならCさんはBさんへ支払わなければならないところ、代わりにAさんに支払ってもらうことを約束します。その証しとして為替手形を作成するのです。Cさんが、Aさんに許可をもらい手形を振り出し、Bさんがそれを受け取るというものです。

商工会議所の説明では、簿記3級、2級では「為替手形」は範囲に含まれていないとのことです。将来いつかのお楽しみとしてとっておきましょう。(参考:商工会議所のWebサイト

ここでは、簿記3級の範囲に含まれる「約束手形」について重点的に解説いたします。

 

まとめ

一定の期日に、一定の金額を支払うことを約束した証し」のこと。
約束手形(やくそくてがた)」と「為替手形(かわせてがた)」の2種類がある。
(↑タップして答えを確認)

 

AさんがBさんに支払う約束する証しで、Aさんが振り出す」という、2者間でのやりとりする手形のこと。
(↑タップして答えを確認)

 

約束手形のしくみ

約束手形とは「一定の期日に、一定の金額を支払うことを約束した証し」です
手形と同じで、金額を書き込む欄がある一枚の小さな紙でできています。

 

仕入など何かの取引をして、支払う側の人は金額や、受取人支払期日などを記入して約束手形を作成します。ミシン目に沿って切り分けて、本件の方を相手に渡すことで、「記載した支払期日に、記載した金額を、記載した受取人に入金されるように、ちゃんと支払います」という約束が成立します。

約束が成立すると、振出人は「お金を支払う義務」を負うことになります。この義務のことを「手形債務(てがたさいむ)」といいます。そして、この時から振出人は「支払人(しはらいにん)」と呼ばれます。

そして約束手形の「〇〇殿」に書かれた人のことを「名宛人(なあてにん)」といいます。
この名宛人は、手形を受け取ると「お金を受け取る権利」を得ることになります。この権利のことを「手形債権(てがたさいけん)」といいます。そして、この時から名宛人は「受取人(うけとりにん)」と呼ばれるようになるんです。

そして、受取人がお金を期日に払ってもらうことを「取り立てる」といいます。

手形とお金の流れはこんなイメージです。

 

約束手形の会計処理

約束手形の振出人(支払人)、受取人の両方の立場になって、振出した(受取った)時、決済された時についての会計処理を見ていきましょう。

 

★ 約束手形を振り出す側の立場

約束手形を振出した時

振出人は、約束手形を振出したときに支払人と呼ばれ、手形債務を負うことになります。
手形債務は「支払手形(しはらいてがた)」という勘定科目を使います。もちろん要素は負債です。

卸売店Aから商品30,000円を仕入れ、代金として約束手形を振出して支払った。

\答え/

借方 金額 貸方 金額
仕入 30,000 支払手形 30,000

\解説/


仕入れたということで、費用の増加、ホームポジションである借方に記入します。
そして「支払手形」です。負債が増加しますので、ホームポジションの貸方に記入します。

答えを確認

 

決済された時

支払人は、支払期日までに当座預金の口座に手形代金を預け入てしておきます。
支払日がくると当座預金口座から金額が引き落とされ、手形債務は消滅します。

卸売店Aに振出していた約束手形30,000円が満期日になり、当座預金口座から支払済の通知を受けた。

\答え/

借方 金額 貸方 金額
支払手形 30,000 当座預金 30,000

\解説/
満期日(まんきび or まんきじつ)」という見慣れない言葉が出てきました。これは支払い期日と同じ意味で使います。

手形代金の支払いが済んだということですので、手形債務の消滅です。
負債の減少ですので、勘定科目「支払手形」をホームポジションの逆側である借方に記入します。

当座預金口座の残高が減ります。
資産の減少です。ホームポジションの逆側である借方に記入します。

答えを確認

 

★ 約束手形を受け取る側の立場

約束手形を受取った時

名宛人は、約束手形を受取ったときに受取人と呼ばれ、手形債権を得ることになります。
手形債権は「受取手形(うけとりてがた)」という勘定科目を使います。権利なので要素は資産です。

ショップBに商品50,000円を売り、代金として同店振出しの約束手形を受取った。

\答え/

借方 金額 貸方 金額
受取手形 50,000 売上 50,000

\解説/


売ったということで、収益の増加、「売上」勘定をホームポジションである貸方に記入します。
そして「受取手形」です。資産が増加しますので、ホームポジションの借方に記入します。

答えを確認

 

決済された時

受取人は、自分の当座預金口座を契約している銀行に取立てを依頼します。
そして、支払日がくると当座預金口座に金額が入金され、手形債権は消滅します。

かねて取立てを依頼していたショップB振出しの約束手形50,000円が満期日となり、当座預金口座に入金されたと通知を受けた。

\答え/

借方 金額 貸方 金額
当座預金 50,000 受取手形 50,000

\解説/
満期日」、また出てきました。支払い期日と同じ意味でしたね。

手形代金の取立てが済んだということですので、手形債権の消滅です。
資産の減少ですので、ホームポジションの逆側である貸方に記入します。

当座預金口座の残高が増えます。
資産の増加です。ホームポジションである借方に記入します。

答えを確認

 

不渡りにはご注意を!

支払人が約束手形の期日に手形代金を支払わないことをを「不渡り(ふわたり)」といいます。

受取った手形が不渡りになると、そのお金は入ってこなくなっちゃいます。
商品を売ったのにお金がもらえないのでは困ってしまいますよね。

そんなこんなで銀行は、不渡りに対してペナルティーを儲けています。
半年間の間に2回以上の不渡りを出した場合、2年間は銀行との取引を停止する」というものです。

銀行と取引ができなくなるとお先が真っ暗です。
それだけではありません。不渡りを出したというニュースはあっという間に世間に広がります。「あの会社は、商品を買っても代金を支払わない!」などの評判が流れてしまい、誰も相手をしてくれなくなってしまいます。

もうこうなると、倒産する未来しかありません

倒産なんてしたくない! だからみんな支払人になったら確実に期日に手形代金を支払おうと気をつけるようになりますね。

商品を売る側の立場では、代金を「売掛金」すると、期日がきても「支払いはちょっとまってよ〜」と言われてしまうリスクがありますが、手形では期日は期日で変えることができないので、先延ばしにされる心配がありません。ちょっとした安心感がありますね。

 

取立てだけじゃない!受取手形の現金化【裏書譲渡】

ここからは番外編です。
簿記3級の範囲ではないのですが、約束手形の特徴ですので紹介します。

名宛人は受取手形を別の人に渡すことができます。これを「譲渡(じょうと)」といいます。
受取った約束手形は、銀行に持っていき取立て依頼をし、期日を待って現金化するだけが全てじゃないんです。お金と引き換えに譲渡するのです。

 

約束手形を現金にするやり方、2選!

1. 銀行に割引きで買い取ってもらうという方法

受取った約束手形を銀行に持っていき取立て依頼を出すと、支払い期日までお金が入ってきません。「そこまで待てないー」と言う時は、銀行に買い取ってもらいます。

「期日がきたらお金をもらえる権利」を売るのです。銀行からしてみるとただお金を支払うだけでは何の得もなく魅力的には見えません。そこで金額を割り引くのです。
例えば、約束手形の金額が30,000円のところ、27,000円で譲渡すれば、数ヶ月後の満期日に銀行には30,000円が入り、差額の3,000円が儲けです。儲けが出ればハッピーなので買取ってもらえます。

このように約束手形の金額を割り引いて譲渡することを「手形割引(てがたわりびき)」といいます。買取ってくれるのは銀行だけではありません。専用の買取業者があったりもします。とにかく早く現金が欲しいと言う方に便利ですね。

 

2. 仕入れの商品代金の支払いとして使うという方法

仕入れの際に「商品代金の支払い」として受取手形を使うことができます。他にも何かしらの支払いで使えるから便利です。現金を使う必要がなくなりますので、実質現金化したことと同じになります。

 

約束手形を譲渡する方法

約束手形、実は裏をめくると記入欄があるんです。

こんな感じです。(裏をめくって縦にしています。)

 

裏面に記入して、被裏書人に渡していくことで、何人もに譲渡をつないでいくことができます。

この記入例の場合、もともと受取人だった「JKL商店」から、「SS商事」に、表に記載の金額を期日に受け取る権利が譲渡されます。そしてSS商事は、そのひとつ下の欄に、同じように上段には自分のこと、被裏書人には相手の名前を記入し、相手に渡すことで、別の人に譲渡できます。

被裏書人になれば、その約束手形を受取人同様に扱うことができます。銀行に持っていき、取立ての依頼を出してもよいし、手形割引にしてもよいし、何かの支払いに使っても良いのです。

ただし、ご注意を! 裏書きした場合、債務を負うことになるからです。
振出人が期日に支払わなかった場合、銀行は取立てに失敗します。最終的に受け取る権利のある人は、自分で振出人のところに行き、お金を回収をしないとなりません。そして、その債務は裏書きをした人にも回ってきます。表面に記載の金額を支払わなければならないのです。

振出人が期日になっても支払わず、約束手形が不渡りになりました。
最終的にD社がお金を受取る権利があります。
D社は、「振出人、A社、B社、C社」のどれかの会社に行ってお金を回収します。振出人のみならず、「A社、B社、C社」にも支払いの義務があるのです。

 


手形についてのお話しはこれでおしまい。
次は当座借越についてご紹介です!
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