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vol.07 手付金について 【前払金と前受金】

商品売買は、会社やお店のメインとなる活動です。その中で登場する「手付金」、「内金」、「申込証拠金」…これらがどんなものなのか?会計処理はどうするの?を解説いたします。

一次関数、連立方程式…なんかは出てきません。
足し算、引き算(あと掛け算、割り算もちょっとだけ)ができれば大丈夫の簿記3級。気軽な気持ちで読んでくれたらうれしいです。食後のコーヒーのお供に是非。

手付金について 【前払金と前受金】

手付金(てつけきん)内金(うちきん)申込証拠金(もうしこみしょうこきん)
どれも同じような意味を持っています。普段の生活では登場してこないし、あまり馴染みない言葉ですよね。

マンションや一軒家といった不動産など、大きなお買い物をする時によく出てくるお話しです。

代金の支払いと引き換えに、実際にモノが引き渡されることを「決済(けっさい)」といいます。

手付金(内金、申込証拠金)は、売買の契約をしてから、決済されるまでに1〜2ヶ月とか時間が空いちゃう時などによく使われる取引です。
売買の契約時に代金の一部を先に払っておいて、残りの金額を決済時に支払う」というやり方です。

手付金を払った買う側の人が「やっぱり買うのやめます」と言えば、没収され戻ってきません。
逆に、手付金を受け取った人が「やっぱり売るのやめます」と言えば、手付金は戻されて、さらに上乗せで、ペナルティとして手付金と同額の代金を買う側に支払うといったルールです。

お互い、後からキャンセルされたら困るので、「やっぱりやめます」を防止するための仕組みです。

 

 

手付金の会計処理

途中でキャンセルされることなく、スムーズに契約が成立するケースを例に会計処理をご紹介致します。購入者と販売者、契約時と決済時、それぞれの立場とタイミングを意識して考えるようにしてください。

★購入者の立場

契約時

株式会社Aと商品80,000円の仕入契約を結び、内金として8,000円を現金で支払った。

\答え/

借方 金額 貸方 金額
前払金 8,000 現金 8,000

\解説/
この出来事から5大要素のどれかの残高が変化する事象は2つです。

1. 内金 8,000円を支払った
2. 現金 8,000円で支払った

1.内金 8,000円を支払った
商品の仕入契約をした時に、代金の一部を内金や手付金、申込証拠金として前払いしたということは、勘定科目「前払金(まえばらいきん)」を使います。前払金とは「将来、商品を受け取ることができる権利」を意味しています。権利は財産です。財産は、会計(簿記)の用語では資産というのでした。ですので、前払金は、5大要素のうちの資産に該当します。
前払金の残高が増えますので、資産のホームポジションである借方(左)に記入します。

2. 現金 8,000円で支払った
現金による支払いです。現金(資産)が減少しますのでホームポジションとは逆側の貸方(右)に記載します。

答えを確認

決済時
以前に株式会社Aに注文していた80,000円の商品を受取り、代金のうち 8,000円は注文時に支払った内金と相殺し、残額は掛けとした。

\答え/

借方 金額 貸方 金額
仕入 80,000 前払金 8,000
買掛金 72,000

\解説/
この出来事から5大要素のどれかの残高が変化する事象は3つです。

1. 商品 80,000円を受取った。
2. 代金は内金 8,000円と相殺した。
3. 残りの代金は掛けとした。

1. 商品 80,000円を受取った
商品の仕入契約のことを「注文(ちゅうもん)」といいます。
注文した商品を受取ったので仕入(費用)です。費用の残高が増えますのでホームポジションの借方(左)に記入します。

2. 代金は内金 8,000円と相殺した。
相殺(そうさい)」とは、あるものと別のあるもので打ち消し合うという意味です。会計(簿記)をやっているとよく出てくる言葉です。このケースでは商品の代金と既に支払済の内金8,000円を打ち消し合うということになりますので、注文時に加算した「前払金」の残高を減らして、なかった事にします。
前払金は資産ですので、残高を減らすとなるとホームポジションの逆側、つまり貸方(右)に記載します。

3. 残りの代金は掛けとした。
この「残り」というのは、商品の代金 80,000と既に支払い済みだった内金 8,000円で相殺し、打ち消しあってなくなった後に残る 72,000円のことです。

(計算式)72,000 = 80,000 – 8,000

代金は掛けとしています。仕入れの掛けは「買掛金(負債)」です。
買掛金の残高が増えますので、負債のホームポジションである貸方(右)に記載します。

答えを確認

 

★販売者の立場
今度は、株式会社Aの立場になってみましょう。

契約時

株式会社Bと商品 80,000円の販売契約を結び、内金として 8,000円を現金で受取った。

\答え/

借方 金額 貸方 金額
現金 8,000 前受金 8,000

\解説/
この出来事から5大要素のどれかの残高が変化する事象は2つです。

1. 内金 8,000円を受取った
2. 現金 8,000円を受取った

1.内金 8,000円を受取った
商品の販売契約をした時に、代金の一部を内金や手付金、申込証拠金として前払いで受取ったものは、勘定科目「前受金(まえうけきん)」を使います。前受金とは「将来、商品を引き渡すという義務」を意味しています。義務は負債です。ですので、前払金は、5大要素のうちの負債に該当します。前払金の残高が増えますので、負債のホームポジションである貸方(右)に記入します。

2. 現金 8,000円を受取った
現金の受取りです。現金(資産)の残高が増加しますのでホームポジションである借方(左)に記載します。

答えを確認

決済時
以前に株式会社Bから注文を受けていた80,000円の商品を引き渡し、代金のうち 8,000円は注文時に受取った内金と相殺し、残額は掛けとした。

\答え/

借方 金額 貸方 金額
前受金 8,000 売上 80,000
売掛金 72,000

\解説/
この出来事から5大要素のどれかの残高が変化する事象は3つです。

1. 商品 80,000円を受け渡した。
2. 代金は内金 8,000円と相殺した。
3. 残りの代金は掛けとした。

1. 商品 80,000円を受け渡した
商品を受け渡したら売上(収益)です。収益の残高が増えますのでホームポジションである貸方(右)に記入します。

2. 代金は内金 8,000円と相殺した。
相殺(そうさい)」とは、あるものと別のあるもので打ち消し合うという意味でしたよね。このケースでは商品の代金と既に受取り済の内金8,000円を打ち消し合うということになりますので、注文時に加算した「前受金」の残高を減らして、なかった事にします。
前受金は負債ですので、残高を減らすとなるとホームポジションの逆側、つまり借方(左)に記載します。

3. 残りの代金は掛けとした。
この「残り」というのは、商品の代金 80,000と既に受取り済みだった内金 8,000円で相殺し、打ち消しあってなくなった後に残る 72,000円のことです。

(計算式)72,000 = 80,000 – 8,000

代金は掛けとしています。売上げの掛けは「売掛金(資産)」です。
売掛金の残高が増えますので、資産のホームポジションである借方(左)に記載します。

答えを確認

 


これで手付金のお話しはおしまい。契約途中でキャンセルにならないように防ぐためのルール、お分かりいただけましたでしょうか?
次回は商品券やクレジットカードのお話しです。

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